トンネルを抜けると、そこはテニスコートだった。

Try not to become a man of success but rather to become a man of value.

 

- Albert Einstein (アインシュタイン) -

 

成功者になろうとするのではなく、むしろ価値のある人間になろうとしなさい。


さいきん素っ気なかった部活くんが、土曜日の対抗戦に行けることになった。

部活くんはエアケイとつるんだりし、好きの裏返しで理事長に意地悪したり、テニスを語ってくる。

エアケイは土曜日の練習の前に飲んでて、抜けないうちに練習の時間がやってきた。

本人はしっかりしているつもりだったが、酒が抜けにくくなっている年齢だということに気づいていないようである。匂いがぷんぷんし、足はヨタヨタし、誰が見ても酔っぱらいで、声はかすれていたが、球出しのコースだけは完璧であった。

あの夜、体育会くんが急に来れることになった1時間の練習も「おれが練習前に飲んでたって言わないでね。聞かれたら調子悪いみたいー、って言って!おれは体育会くんの前ではちゃんとしておきたいから! 失礼だから! 」と、力説した。

失礼だから、とか(笑)

理事長が、「部活くんだったらいいのか? 」と聞くと、

「部活くんだったらぁ〜、別にぃ〜、足立区だしぃ〜〜。」

と、よくわからないことを言っていた。

部活くん(高校テニスで完成させた人を指します。)

体育会くん(大学テニスに青春を捧げた人を指します。)

の間には、越えられない壁がある。

肉体的な成長期とピークをテニスに捧げた彼らをリスペクト。大学体育会まで続けた、続けなかった、は、ものすごく大きな差がある。

みんながチャラくさくサークル・DE・テニスしてた間に、彼らは誘惑に負けず大学体育会でストイックに練習していたのである。

現在トップスピンにはHIDEと体育会くん以外に「体育会くん」は不在だ。

超えられない壁。

そこを超えていくのがトップスピンである。

ネットを越えると、そこはベースラインだった。

隅田川を超えると、そこは別の区だった。

トンネルを抜けると、そこは地上だった。

地上に上がると、そこは四ツ谷だった。

捧げられるものがある、って、幸せだね。